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ミスドの苦味
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ここのところ、ミスタードーナツをすっかりオフィス化しています(スミマセン)。
長居はほどほどにと、気を付けていますが…。

先程まで、隣に幼い姉妹が座っていました。

お姉ちゃんは小学校の中学年、妹が低学年くらいに見えました。
親の姿は無く、姉妹二人きりでドーナツに齧り付いていました。

二人の会話はとても癒されるもので、オジサンは微笑ましく聞いていました(特に聞き耳を立てていたわ訳ではありません)。

今日はどうやら、妹ちゃんがお姉ちゃんにドーナツをおごってあげているようでした。
お姉ちゃんは「ありがとう」を素直に口にし、「どういたしまして」と嬉しそうに妹ちゃんが受けていました。

この姉妹、何だか癒されるなぁ…。
ずっと会話を聴いていたい…。
と思いつつも、デザイン描きに集中しなくては成らないので、何とかパソコンに齧り付き、集中していきました。

「今度、お姉ちゃんがおごってあげる」
気付けば姉妹は立ち上がり、身支度を整えていました。

「大人になったらさ、コーヒーおかわりしに来ようね。」
トレイを片付けながら、お姉ちゃん。
「うん、いっぱいおかわりする」
大きくうなずきながら、妹ちゃん。

去り際の会話に、ハッとしました。

コーヒー&カフェオレは、おかわり自由なミスドです。
それでも、小学生の姉妹はコーヒーよりも、当然ジュース。

「大人になったら…」
そうか、と思いました。

自分がコーヒーを飲めるように成ったのは、いつの頃だったか…。
おそらく、二十代も後半だったように記憶しています。

それまでも決して飲めなくは無かったが、飲後に胃液がこみ上げてくる事が多かったので、美味しいとは思えなかった。

その後、エスプレッソを飲む機会があり、試してみると、胃液がこみ上げる事もなく、苦味と旨みを素直に美味しいと感じられた。
私の場合は、どうもミルクが合わなかったらしい。
それぞれ、単品でいただくには問題ないが、合わさると胃液がこみ上げてくるのだった(今は大丈夫)。

コーヒーをブラックで飲むようになって、十数年。
おかわりをいただく事が、すっかり当たり前になっている。

「コーヒーのおかわり、いかがですかぁ」
キビキビと店内を回り、次々にカップへ注いでゆく店員さんの姿。
「お願いします」
「いや、結構です」
答える大人達。

姉妹からみれば、それはきっと苦味を克服した大人達だけに許された、言葉のやりとり、世界。

「大人になったら…」
と、彼女達は言った。
「コーヒーが好きになったら…」
とは言わずに。

コーヒー=大人。

コーヒーの苦味。
ビールの苦味。
サンマ、ウナギの肝の苦味。

確かに食べられなかったモノ達が、気付けば好物に成っていた。

「歳をとるにしたがって、次第に舌の味覚細胞が死んでゆく為、味に鈍感に成り、若い頃には耐えられなかった苦味が、受け入れられるようになる」
と、何かで聞いたことがある。

なるほど、確かに幼き頃の鋭敏さは失ってきているように感じる。
それはきっと、味覚に限ったことでは無い筈。

昨年話題にのぼった『モスキート音』もしかり。
※若い人にしか聴こえないという、高音域の音。蚊の羽音に似た音。

次第に鈍感に成ってゆく…か。

近頃、思う。
多過ぎる情報は、かえって惑わされ易く、混乱、あやまちの原因に成りかねない。

必要な分を必要なだけ。

それが好い。

すると、鈍感さが、それを選り分ける為のフィルターに思えてならない。
そのフィルターを持つ事で、長い人生を、健やかに生き続けていけるのかも知れない。


あの姉妹がコーヒーの味を覚えるのは、どれくらい先かなぁ…。



* 手ぬぐい ゆる波 ネットショップ * 
http://www.yurunami.jp/
by yurunami6 | 2009-02-25 00:40 | 日記
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